浮造り|杉板

明日から12月を迎える今日は、一週間前の「小雪」、一週間後の「大雪」に挟まれた“中雪”とでもいう日にあたりますが、比較的暖かい一日でしたね。

今日の現場でついつい見入ってしまった杉板の浮造り(うづくり)のお話しです。

 

<<12/3追記しました>>

 

こちらの写真は戸袋(外部)に使用されていた杉板です。

板の表面に凹凸があるのが分かるでしょうか。これが浮造り(うづくり)と言われるものです。木目にも見えますが、触ると凹凸がよく分かります。

 

 

浮造りというのは木の特性を活かした加工方法です。

簡単に言うと、季節によって木の成長が異なるために生じるものが夏目と冬目。

この夏目と冬目の違いが年輪を作りだしています。木の断面を見ると年輪がよく分かりますよね。成長しにくい冬期には黒い筋となって年輪に現れます。

 

通常、浮造り仕上とする場合、焼杉板を金ブラシなどで擦って、柔らかい夏目を落としてつくるのですが、今回のこの現場の杉板は長年の風雨に耐えた、天然の浮造りか!?

 

(左)右方向から光を当てて撮影、(右)光照射無しで撮影

 

同じ部位を同じアングルで撮影してみました。

凹凸が伝わるでしょうか?

ついつい撫でたくなる凹凸です。

 

この凹凸を写真でもおさめたくて、光の方向を変えたり角度変えたり・・・

ついつい大工さんの邪魔をしてしまいました。

でも大工さんも話にのってくださるので楽しい時間です。

 

 

 


▶2017.12.03追記

 

 

タイムリーなことに先日、浮造りの道具を手にする機会がありました。

「刈萱(かるかや)」の草の根を束ねた道具の名前は加工方法と同じ 浮造り です。

俵のような形をした方が固めで荒削り用、細長い(右側)方は少し柔らかい仕上げ用のものです。

 

木目に沿って、この道具で表面を擦ると浮造りができあがります。

 

まげわっぱのお弁当箱に浮造り仕上げを施し、漆塗りのお弁当になります。

工業製品のように大量生産には向いていないかもしれませんが、

一つ一つゆっくりと時間をかけて、人の手でつくりだす技術、大切にしたいものです。

 

 

仕立建築舎 平賀

 

(見る角度によって陰影が美しい!)