調査コラム04|建物調査の人員配置は複数?1人?



今回の調査コラムは建物調査の人員配置についてお話です。

調査と言っても建物の規模や種類によって多種多様な調査内容になりますが、それに伴い、調査員の人数も変化します。

例えば、以下の2通りを考えてみます。

(A)1日で10人=10人工

(B)1人で10日=10人工

(人工(にんく)とは作業の手間を表す単位で、よく工事の見積書などにも登場します)数字上は全く同じ10人工の(A)と(B)ですが実際は違います。

 

方法Aー1:調査経験者と未経験者(もしくは数回の調査経験あり)がペアで実施

方法Aー2:調査経験者のみで実施

方法Bー1:調査経験者のみ(複数名)で複数日数実施

方法Bー2:調査経験者のみ(1名)で複数日実施

 


この物件では 方法Aー1 でした。

調査前に集合して、各担当場所の確認と

簡単な自己紹介(調査経験等)をしてから

調査スタートです。

皆さん画板を片手に自分の調査担当箇所を確認中です。


これまでは Aー1 で行うことが多かったです。

前事務所時代では、“調査メンバーを増やす”ということで、調査メンバー育成の目的もありました。

この場合、経験者が未経験者に伝える(教える)ことで、経験者自身もこれまでの経験を整理するいい機会になると思います。人に物事を伝えるとき、自分自身が理解していないと正確に伝えられませんから。

 

私自身、最近は Aー2 や Bー1 で実施することが多くなっています。

コロナ禍で、あまり大人数でお住まいのご自宅(調査地)にお伺いすることが憚られる

といった理由もありますが、毎回同じメンバーで行う場合、阿吽の呼吸というか、

細かい指示がなくても的確に進めてくれるという安心感があります。

といっても、その都度床下や小屋裏など調査箇所が変わると過不足があるので、

事前に情報共有することは省いていません。


 

上の写真と同じ調査時の写真です。

野帳の整理をしながら、調査内容の共有や野帳の書き方など、初めて参加した人にレクチャーしたりします。

調査箇所の異なる(例えば小屋裏と天井の劣化事象)担当者同士で、両者が関連する劣化事象かどうかの確認も大事なやり取りです。


野帳担当、採寸担当、写真担当と専任担当とすることを実践されている方もいらっしゃいます。

こちらは、東京の松井郁夫建築設計事務所の松井郁夫さんが普段されている方法だそうです。(以前、住宅医スクールの講師に来られた際、色々質問させてもらいました)

この方法は調査回数を重ねるごとに、担当者個人個人がよりブラッシュアップされていきますね。

 

次回の調査コラムは Bー2のメリット、デメリットに焦点を当ててみたいと思います。

 

 

仕立建築舎 平賀